お尻を出した子一等賞。
只今、ネギま書き直し中~♪ ネタバレにご注意を。
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真・その名はマコト(メインディッシュパート8)
マクダウェル選手ギブアップ!! 両者見詰め合って30秒ほどでしたが、一転、一撃で勝敗は決しました!!
刹那は倒れているエヴァンジェリンに対し、姿勢を正すと一礼して舞台を去って行く。
「あ、刹那さ・・・・」
アスナは刹那に声を掛けようとしたが、その鬼気迫る雰囲気を感じ取りその場で足を止め刹那を見送るのだった。
「すげーな今の刹那の姉さん」
「一体どうしたんでしょうか?」
ネギとカモが心配そうに刹那の後ろ姿を見ていた。
「ちょっとエヴァちゃん! 刹那さんに何を言ったの?」
「フッ、神楽坂明日菜。お前は親しき友人の為にどこまで出来る?」
「え? 何それ?」
「お前は親しき友人の為に死ねるか?」
そう言いエヴァンジェリンは立ち上がる。
「はぁ? 何言ってんのよ? そんな事より刹那さんを傷付ける様なこと、
何か言ったんじゃないでしょうね?」
去っていく刹那の後ろ姿を見つめ、エヴァンジェリンは笑みを浮かべ、呟く。
「アイツは“死ねる”そうだ」
「え?」
アスナの呆けた声に満足したのかエヴァンジェリンはそのまま舞台を降りた。
「もう、何なのよ!」
アスナは知らない、既に数々の物語は始まっている事を。
「おい、超 鈴音。どうやら高畑を助けに何人か派遣された様だぞ」
「わかてるヨ、一人は龍宮が相手してるネ。」
「地下はどうすんだ? なにやら随分と大所帯で進入してきてるが?」
「ふむ、潮時ネ。そこはもういいよマコト君、こちらで田中さんと攻撃用ロボを使用するから。あとは鬼と残りの田中シリーズの移動よろしくネ」
「あいよ。」
マコトは通信用の魔法陣を解くと目の前にある巨躯の鬼を見上げる。
外見こそフザケタ装甲で隠されているが、本物の鬼である。京都のスクナとは比べるまでも無いが、その姿から感じる威圧感は流石と言える。
「和の国で絶対の存在であった貴様らが今やこの様な姿となって人間如きの支配を受けているとはな・・・・我々が弱くなったのか、人間が強くなったのか、時の流れと言うのは恐ろしいな・・・・」
不意にアスモ姉さんが一体の鬼の肩に乗りそんな事を呟いた。
“ォォォォォオオオオオオオオオオオオオ”
「フフフ、そういきり立つな直に戦が始まる。もう少し寝ていろ・・・・」
大地を揺るがす程の鬼の声を聞いたアスモ姉さんは不適に笑うと鬼の顔を愛おしそうに撫でると鬼の声は収まった。
「・・・・あの、アスモ姉さん? 敵さんも近づいて来てるのにあまり目立つ行動は勘弁してくれ」
「フフフ、ごめんねマコト。嘗ては同じ存在だったからつい話し掛けたくなったのよ」
「なるほど、良くは知らんがまぁいい。さて、コチラの準備も整った所でちびせつなさん?」
「は、はい! なんでしょうかマコト様」
「木乃香と刹那に伝言を頼みたい・・・・」
ちびせつなは衣を正し、ゆっくりとマコトを見つめる。
「今夜21時、世界樹の広場で待っている」
ちびせつなは深く頭を下げ、
「承りました」
謹厳な声で応え、その姿を消した。
「さて、コチラも出る。アスモ姉さんも戻ってくれ」
「はいは~い」
さて、残りの試合でも見に行くか。
転移魔法陣を使い地上に出たマコトの眼に飛び込んできたのはじっと地面を見つめコチラに歩いてくるネギの姿だった。
「おや、これはこれはネギ先生。次は先生の試合ですか?」
声を掛けたにも関わらずネギは視線は地面を見つめたまま進んでくる。
「おーいネギ先生? ぶつかりますよ~・・・・ぶつかるって言ってんだろコラっ!」
マコトはネギにデコピンをかます。
「っ!? あ、マコトさん。すいません・・・・」
おでこを押さえるもまたすぐに俯いてしまう。
「おいおい、そんなので大丈夫か? 次の試合お前と刹那だろ? ありゃ、楓の試合見逃したか勿体無かったなー」
「はい、大丈夫です・・・・」
どこか大丈夫なんだよ、今の会話になってなかったぞ?
「で? 何を悩んでんだ?」
「いえ、何でもありません大丈夫ですよマコトさん」
そんな微妙な笑顔で言われてもな・・・・しゃーないコレは使いたくなかったが、コイツはなかなかに頑固者だからな。
「まぁまぁ、ネギ先生。ちょうど近くに臨時救護室がありますからそこで“御話を聞きましょう”」
瞬間、ネギの瞳から光が消える。
「はい」
ネギはそう力無く応えるとマコトの後をついて行った。
幻惑とは、簡単に言えば催眠だ。主に魔法使いの尋問用に使われる魔法であり、掛けられた者は一種の催眠状態となってコチラの要求に応えてしまうという恐ろしい魔法であるが、効き目に個人差があって大抵は自白をさせるのが限界、何らかの行動をさせるのは難しい魔法である。
それを使い、ネギの過去と何を悩んでいるのかを聞いてみたが、ネギの口から語れる過去は何とも現実離れしたRPGの主人公のような過去だな。
幼少の頃から両親の顔を知らず、おじさんに育てられ、父の伝説を聞き、育った少年は当然父に憧れを抱く。父に会いたい一心で馬鹿な事もしたが周囲の人達の優しさや、愛がこの少年の人格形成の要因だろう。
そして運命の日、悪意を持った者の召喚で喚び出された無数の魔族によって村は焼かれ、村人の多くは物言わぬ石に変えられた。
そこに突如現れる一人の男、その男が全ての悪夢を終わらせた。
それこそがネギの父であり、サウザントマスターの異名を持つナギ・スプリングフィールドだった・・・・。
ドラマチック過ぎだろっ!? なんでRPGの主人公の村って大抵焼かれんのかね? まぁ、いい。
ネギ先生にとって親父は全てだ。幼少時代に悪夢から救ってくれた父を探す為に魔法使いとしての研鑽を積み、此処まで来た。
そして今、あのクウネル・サンダースが本当の父ではないかと思っていると同時に疑いもしている。簡単に言えば、親父の事で頭が一杯なのだ。
まぁ、無理もないな。探し求めた実の父が来ているかも知れないのだからな。
マコトは一度パンっと手を叩く。するとネギの瞳に光が戻ってくる。
「シっ!!」
マコトはネギに掛けた幻惑を解けたのを見計らって、拳を放つ。
「っ!?」
マコトの拳はネギの目の前で止まる。
「どうしたネギ? 捌かないのか? お前がマスターの試験を受ける前に俺は同じ事をしたな、その時のお前はちゃんと捌いてたぞ? お前は今何処を見ているんだ? まだ偉大な親父の背中を見ているのか? そんな余所見をしていて刹那に勝てるのか?」
「っ!?」
「捜し求めた父を感じ、逸る気持ちもわからんでもないがそれに囚われるな。
深呼吸をし、肩の力を抜いて前を見ろ! さっきみたいに俯いて歩いていてはつまらん小石に躓いてせっかくのチャンスを逃す事になるぞ」
ネギは目を閉じ、静かに深呼吸をするとゆっくりと目を開ける。
その目には強い光が射し、真っ直ぐにマコトを見ていた。
「この野郎~良い顔しやがって」
マコトはそう言い、ネギの頭を少し乱暴に撫でる。
コイツには不思議と人を魅了する力がある、いつの間にか世話を焼いてる自分がそれを物語っている。
「あの、マコトさん。ありがとうございました!!」
深々と頭を下げるネギに後ろ手に手を振るマコト。
「気にすんな、それよりも試合頑張れよ」
そしてマコトは救護室を後にする。
同時刻、選手控え室。
「・・・・随分と遅かったですね。勝手に連絡を絶ってから何をしていたのです?」
刹那は正座をしながら目を瞑りちびせつなに問いかけた。
「お叱りは後で受けます。それよりもマコト様から伝言を預かっております」
「・・・・読み上げてください」
“今夜21時、世界樹の広場で待っている”
「お嬢様にも既に伝えてあります」
「ご苦労様です。戻ってください」
ちびせつなは短く“はい”と応え人型の紙に戻った。
刹那はゆっくりと立ち上がり、胸元からパクティオーカードを取り出す。
不適に笑う三人の子供が描かれたそのカードを見て柔らかに微笑むと前を見据え、部屋を出ていくのだった。
“さぁ! いよいよ準勝、第十四試合を開始します!!”
“それでは第十四試合――――Fight”
「いきます、刹那さん」
「はい」
互いに疾走し、全力でぶつかっていく。
「いいね~二人とも良い顔してるわ~」
そんな二人の姿を見てマコトはそう呟いた。
あ、そういえばマスターが居ない。いいのか? あの食う寝るサンダースがネギの親父の情報か何らかの物を持ってるのに・・・・。
一応連絡しとくか。
「おお、チャチャゼロ? マスター出せ」
「なんだ?」
「マスター、試合見なくてよろしいので? あの食う寝るサンダースがネギにサウザント・マスターと戦わせると公言してましたよ?」
「ああ、アイツはアルビレオ・イマと言ってだな――――」
そこでエヴァンジェリンの台詞は途切れ、そして・・・・。
「そうかっ!? アイツのアーティファクトは!!」
そこで通話が切れてしまう。
「え? アレ? マスター?」
一応もう一度電話してみるも出ず。
・・・・まさかご立腹なさったとか? まさかな・・・・一応気配消して隠れて試合見よう。
転ばぬ先の杖、石橋を叩いて渡る等の良い言葉が日本にはあるんだよ、用心した事に越した事はないのだよ。
「流石ですね、ネギ先生・・・・」
刹那は一度ネギ先生から距離を取り、武器であったデッキブラシを投げ捨てる。
「そろそろ時間ですし、次の一撃で終わりにしましょう」
超のつく程の厚底草履を履き捨て、構える。
「・・・・はいっ!」
ネギもそれに応え杖を置き、構えた。
“おおっ~とここに来てフィニッシュ宣言です!”
「本気でいきますよ」
そう言う刹那はかなりの密度の気を纏う。
「・・・・」
頷き、応えるネギもその身体に魔力を纏った。
向き合う二人の間に訪れる静寂、見ている誰もが固唾を飲み、まるで何かを我慢するかの様に強く拳を握る。
そして一陣の風が吹いた刹那、二人は地を駆け、互いに一撃を決める。
「せ、刹那さん・・・・」
刹那の一撃は捌かれ、ネギの一撃が刹那に刺さっていた。
「ネギ先生、本当にありがとうございました。私が今この様な気分で此処に立っていられるのは貴方のおかげです。貴方の道を行ってください」
そう言い刹那はネギの頭を優しく撫でる。
「フゥ、今日はちょっと色々あって疲れました。」
言い終えて刹那はその身を地に預ける。
“き、決まった――――っ! 桜咲選手ダウン!!”
「・・・・」
今の一撃・・・・正直、震えた。
俺同様、ネギも成長してるって事を忘れちゃだめだな。
そして・・・・決勝戦が始まり、食う寝るサンダースの真の目的が明かされた。
それは彼のアーティファクト特性である特定人物の身体能力と外見的特長の再生。そしてその能力から派生したものである特定人物の性格、記憶、感情全てを含めての全人格の完全再生、その能力を使っての遺言をネギの父であるナギ本人から頼まれたそうだ。
「うーん、面白いアーティファクトではあるが、自分より優れた人間の再生時間が短いとなると馬鹿みたいな魔力を消費して使う価値は無いなー」
そしてナギ・スプリングフィールドが再生された。
「・・・・化け物だな」
どうやったらあんな身体能力が身につくのか、魔法も基本となるものしか使用していないにも関わらず、その威力は対群。
伝説の魔法使いは本当に伝説の魔法使いでした。と、まとめていいだろ。
っ!? マスター!?
“心を篭めてなでろ”
盗聴している魔法陣から聞こえたマスターの声は儚く、弱々しかった。
「・・・・吸血鬼の恋か」
マコトは盗聴していた魔法陣を解くと、また超包子の仮面を付ける。
「さて、最後のお仕事にいきますかね・・・・」
閉会式も終わり、観客が興奮冷めあらぬ中去って行く。
会場に使われた龍宮神社は徐々に元の静寂を取り戻していく中、超 鈴音は数人の魔法先生に囲まれていた。
そして尚且つ揉めていた。というより超が挑発していた。
「まぁまぁ、皆さんそんなに熱くならずに」
超の傍にまるで超の影から現れる様に姿を見せる超包子仮面。
「調度いい、君にも聞きたい事があったからね、探す手間が省けて助かったよマコト君」
一度メガネを中指で上げ、そう言うガンドルフィーニ先生。
「・・・・そうだった、もうバレてたんだった!」
マコトはそう言い、付けていた超包子仮面をガンドルフィーニ先生に投げつける。その瞬間、全ての魔法先生が動きだす。
マコトはその光景を見て口元を吊り上げたその刹那、全ての魔法先生の直下に魔法陣が敷かれる。
「流石、魔法先生です良い反射神経をお持ちで・・・・」
高畑以外、全ての魔法先生がその敷かれた魔法陣に反応し、思わずバックステップを決めていた。
「3日目にまた会おう、魔法使い諸君❤」
超はそう告げるとマコトの肩に手をおいて、二人は跡形もなく姿を消したのだった。
「あ、刹那さ・・・・」
アスナは刹那に声を掛けようとしたが、その鬼気迫る雰囲気を感じ取りその場で足を止め刹那を見送るのだった。
「すげーな今の刹那の姉さん」
「一体どうしたんでしょうか?」
ネギとカモが心配そうに刹那の後ろ姿を見ていた。
「ちょっとエヴァちゃん! 刹那さんに何を言ったの?」
「フッ、神楽坂明日菜。お前は親しき友人の為にどこまで出来る?」
「え? 何それ?」
「お前は親しき友人の為に死ねるか?」
そう言いエヴァンジェリンは立ち上がる。
「はぁ? 何言ってんのよ? そんな事より刹那さんを傷付ける様なこと、
何か言ったんじゃないでしょうね?」
去っていく刹那の後ろ姿を見つめ、エヴァンジェリンは笑みを浮かべ、呟く。
「アイツは“死ねる”そうだ」
「え?」
アスナの呆けた声に満足したのかエヴァンジェリンはそのまま舞台を降りた。
「もう、何なのよ!」
アスナは知らない、既に数々の物語は始まっている事を。
「おい、超 鈴音。どうやら高畑を助けに何人か派遣された様だぞ」
「わかてるヨ、一人は龍宮が相手してるネ。」
「地下はどうすんだ? なにやら随分と大所帯で進入してきてるが?」
「ふむ、潮時ネ。そこはもういいよマコト君、こちらで田中さんと攻撃用ロボを使用するから。あとは鬼と残りの田中シリーズの移動よろしくネ」
「あいよ。」
マコトは通信用の魔法陣を解くと目の前にある巨躯の鬼を見上げる。
外見こそフザケタ装甲で隠されているが、本物の鬼である。京都のスクナとは比べるまでも無いが、その姿から感じる威圧感は流石と言える。
「和の国で絶対の存在であった貴様らが今やこの様な姿となって人間如きの支配を受けているとはな・・・・我々が弱くなったのか、人間が強くなったのか、時の流れと言うのは恐ろしいな・・・・」
不意にアスモ姉さんが一体の鬼の肩に乗りそんな事を呟いた。
“ォォォォォオオオオオオオオオオオオオ”
「フフフ、そういきり立つな直に戦が始まる。もう少し寝ていろ・・・・」
大地を揺るがす程の鬼の声を聞いたアスモ姉さんは不適に笑うと鬼の顔を愛おしそうに撫でると鬼の声は収まった。
「・・・・あの、アスモ姉さん? 敵さんも近づいて来てるのにあまり目立つ行動は勘弁してくれ」
「フフフ、ごめんねマコト。嘗ては同じ存在だったからつい話し掛けたくなったのよ」
「なるほど、良くは知らんがまぁいい。さて、コチラの準備も整った所でちびせつなさん?」
「は、はい! なんでしょうかマコト様」
「木乃香と刹那に伝言を頼みたい・・・・」
ちびせつなは衣を正し、ゆっくりとマコトを見つめる。
「今夜21時、世界樹の広場で待っている」
ちびせつなは深く頭を下げ、
「承りました」
謹厳な声で応え、その姿を消した。
「さて、コチラも出る。アスモ姉さんも戻ってくれ」
「はいは~い」
さて、残りの試合でも見に行くか。
転移魔法陣を使い地上に出たマコトの眼に飛び込んできたのはじっと地面を見つめコチラに歩いてくるネギの姿だった。
「おや、これはこれはネギ先生。次は先生の試合ですか?」
声を掛けたにも関わらずネギは視線は地面を見つめたまま進んでくる。
「おーいネギ先生? ぶつかりますよ~・・・・ぶつかるって言ってんだろコラっ!」
マコトはネギにデコピンをかます。
「っ!? あ、マコトさん。すいません・・・・」
おでこを押さえるもまたすぐに俯いてしまう。
「おいおい、そんなので大丈夫か? 次の試合お前と刹那だろ? ありゃ、楓の試合見逃したか勿体無かったなー」
「はい、大丈夫です・・・・」
どこか大丈夫なんだよ、今の会話になってなかったぞ?
「で? 何を悩んでんだ?」
「いえ、何でもありません大丈夫ですよマコトさん」
そんな微妙な笑顔で言われてもな・・・・しゃーないコレは使いたくなかったが、コイツはなかなかに頑固者だからな。
「まぁまぁ、ネギ先生。ちょうど近くに臨時救護室がありますからそこで“御話を聞きましょう”」
瞬間、ネギの瞳から光が消える。
「はい」
ネギはそう力無く応えるとマコトの後をついて行った。
幻惑とは、簡単に言えば催眠だ。主に魔法使いの尋問用に使われる魔法であり、掛けられた者は一種の催眠状態となってコチラの要求に応えてしまうという恐ろしい魔法であるが、効き目に個人差があって大抵は自白をさせるのが限界、何らかの行動をさせるのは難しい魔法である。
それを使い、ネギの過去と何を悩んでいるのかを聞いてみたが、ネギの口から語れる過去は何とも現実離れしたRPGの主人公のような過去だな。
幼少の頃から両親の顔を知らず、おじさんに育てられ、父の伝説を聞き、育った少年は当然父に憧れを抱く。父に会いたい一心で馬鹿な事もしたが周囲の人達の優しさや、愛がこの少年の人格形成の要因だろう。
そして運命の日、悪意を持った者の召喚で喚び出された無数の魔族によって村は焼かれ、村人の多くは物言わぬ石に変えられた。
そこに突如現れる一人の男、その男が全ての悪夢を終わらせた。
それこそがネギの父であり、サウザントマスターの異名を持つナギ・スプリングフィールドだった・・・・。
ドラマチック過ぎだろっ!? なんでRPGの主人公の村って大抵焼かれんのかね? まぁ、いい。
ネギ先生にとって親父は全てだ。幼少時代に悪夢から救ってくれた父を探す為に魔法使いとしての研鑽を積み、此処まで来た。
そして今、あのクウネル・サンダースが本当の父ではないかと思っていると同時に疑いもしている。簡単に言えば、親父の事で頭が一杯なのだ。
まぁ、無理もないな。探し求めた実の父が来ているかも知れないのだからな。
マコトは一度パンっと手を叩く。するとネギの瞳に光が戻ってくる。
「シっ!!」
マコトはネギに掛けた幻惑を解けたのを見計らって、拳を放つ。
「っ!?」
マコトの拳はネギの目の前で止まる。
「どうしたネギ? 捌かないのか? お前がマスターの試験を受ける前に俺は同じ事をしたな、その時のお前はちゃんと捌いてたぞ? お前は今何処を見ているんだ? まだ偉大な親父の背中を見ているのか? そんな余所見をしていて刹那に勝てるのか?」
「っ!?」
「捜し求めた父を感じ、逸る気持ちもわからんでもないがそれに囚われるな。
深呼吸をし、肩の力を抜いて前を見ろ! さっきみたいに俯いて歩いていてはつまらん小石に躓いてせっかくのチャンスを逃す事になるぞ」
ネギは目を閉じ、静かに深呼吸をするとゆっくりと目を開ける。
その目には強い光が射し、真っ直ぐにマコトを見ていた。
「この野郎~良い顔しやがって」
マコトはそう言い、ネギの頭を少し乱暴に撫でる。
コイツには不思議と人を魅了する力がある、いつの間にか世話を焼いてる自分がそれを物語っている。
「あの、マコトさん。ありがとうございました!!」
深々と頭を下げるネギに後ろ手に手を振るマコト。
「気にすんな、それよりも試合頑張れよ」
そしてマコトは救護室を後にする。
同時刻、選手控え室。
「・・・・随分と遅かったですね。勝手に連絡を絶ってから何をしていたのです?」
刹那は正座をしながら目を瞑りちびせつなに問いかけた。
「お叱りは後で受けます。それよりもマコト様から伝言を預かっております」
「・・・・読み上げてください」
“今夜21時、世界樹の広場で待っている”
「お嬢様にも既に伝えてあります」
「ご苦労様です。戻ってください」
ちびせつなは短く“はい”と応え人型の紙に戻った。
刹那はゆっくりと立ち上がり、胸元からパクティオーカードを取り出す。
不適に笑う三人の子供が描かれたそのカードを見て柔らかに微笑むと前を見据え、部屋を出ていくのだった。
“さぁ! いよいよ準勝、第十四試合を開始します!!”
“それでは第十四試合――――Fight”
「いきます、刹那さん」
「はい」
互いに疾走し、全力でぶつかっていく。
「いいね~二人とも良い顔してるわ~」
そんな二人の姿を見てマコトはそう呟いた。
あ、そういえばマスターが居ない。いいのか? あの食う寝るサンダースがネギの親父の情報か何らかの物を持ってるのに・・・・。
一応連絡しとくか。
「おお、チャチャゼロ? マスター出せ」
「なんだ?」
「マスター、試合見なくてよろしいので? あの食う寝るサンダースがネギにサウザント・マスターと戦わせると公言してましたよ?」
「ああ、アイツはアルビレオ・イマと言ってだな――――」
そこでエヴァンジェリンの台詞は途切れ、そして・・・・。
「そうかっ!? アイツのアーティファクトは!!」
そこで通話が切れてしまう。
「え? アレ? マスター?」
一応もう一度電話してみるも出ず。
・・・・まさかご立腹なさったとか? まさかな・・・・一応気配消して隠れて試合見よう。
転ばぬ先の杖、石橋を叩いて渡る等の良い言葉が日本にはあるんだよ、用心した事に越した事はないのだよ。
「流石ですね、ネギ先生・・・・」
刹那は一度ネギ先生から距離を取り、武器であったデッキブラシを投げ捨てる。
「そろそろ時間ですし、次の一撃で終わりにしましょう」
超のつく程の厚底草履を履き捨て、構える。
「・・・・はいっ!」
ネギもそれに応え杖を置き、構えた。
“おおっ~とここに来てフィニッシュ宣言です!”
「本気でいきますよ」
そう言う刹那はかなりの密度の気を纏う。
「・・・・」
頷き、応えるネギもその身体に魔力を纏った。
向き合う二人の間に訪れる静寂、見ている誰もが固唾を飲み、まるで何かを我慢するかの様に強く拳を握る。
そして一陣の風が吹いた刹那、二人は地を駆け、互いに一撃を決める。
「せ、刹那さん・・・・」
刹那の一撃は捌かれ、ネギの一撃が刹那に刺さっていた。
「ネギ先生、本当にありがとうございました。私が今この様な気分で此処に立っていられるのは貴方のおかげです。貴方の道を行ってください」
そう言い刹那はネギの頭を優しく撫でる。
「フゥ、今日はちょっと色々あって疲れました。」
言い終えて刹那はその身を地に預ける。
“き、決まった――――っ! 桜咲選手ダウン!!”
「・・・・」
今の一撃・・・・正直、震えた。
俺同様、ネギも成長してるって事を忘れちゃだめだな。
そして・・・・決勝戦が始まり、食う寝るサンダースの真の目的が明かされた。
それは彼のアーティファクト特性である特定人物の身体能力と外見的特長の再生。そしてその能力から派生したものである特定人物の性格、記憶、感情全てを含めての全人格の完全再生、その能力を使っての遺言をネギの父であるナギ本人から頼まれたそうだ。
「うーん、面白いアーティファクトではあるが、自分より優れた人間の再生時間が短いとなると馬鹿みたいな魔力を消費して使う価値は無いなー」
そしてナギ・スプリングフィールドが再生された。
「・・・・化け物だな」
どうやったらあんな身体能力が身につくのか、魔法も基本となるものしか使用していないにも関わらず、その威力は対群。
伝説の魔法使いは本当に伝説の魔法使いでした。と、まとめていいだろ。
っ!? マスター!?
“心を篭めてなでろ”
盗聴している魔法陣から聞こえたマスターの声は儚く、弱々しかった。
「・・・・吸血鬼の恋か」
マコトは盗聴していた魔法陣を解くと、また超包子の仮面を付ける。
「さて、最後のお仕事にいきますかね・・・・」
閉会式も終わり、観客が興奮冷めあらぬ中去って行く。
会場に使われた龍宮神社は徐々に元の静寂を取り戻していく中、超 鈴音は数人の魔法先生に囲まれていた。
そして尚且つ揉めていた。というより超が挑発していた。
「まぁまぁ、皆さんそんなに熱くならずに」
超の傍にまるで超の影から現れる様に姿を見せる超包子仮面。
「調度いい、君にも聞きたい事があったからね、探す手間が省けて助かったよマコト君」
一度メガネを中指で上げ、そう言うガンドルフィーニ先生。
「・・・・そうだった、もうバレてたんだった!」
マコトはそう言い、付けていた超包子仮面をガンドルフィーニ先生に投げつける。その瞬間、全ての魔法先生が動きだす。
マコトはその光景を見て口元を吊り上げたその刹那、全ての魔法先生の直下に魔法陣が敷かれる。
「流石、魔法先生です良い反射神経をお持ちで・・・・」
高畑以外、全ての魔法先生がその敷かれた魔法陣に反応し、思わずバックステップを決めていた。
「3日目にまた会おう、魔法使い諸君❤」
超はそう告げるとマコトの肩に手をおいて、二人は跡形もなく姿を消したのだった。
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