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真・その名はマコト(メインディッシュパート9)

 麻帆良祭二日目PM7:03
「・・・・計画通りってか?」
「いや~今のはなかなかヤバかたヨ。高畑先生に逃げられたのは痛かたネー」

 なんて言いつつ笑ってるがコイツの場合、高畑先生の逃亡も計画の内だったとしておかしくない。
「おい、とっとと戻るぞ。また見つかっても厄介だ」
「あいあい」
 マコトは転移魔法陣を展開させた。



 超 鈴音と別れ、マコトは世界樹の広場に来ていた。
「10分前行動とは、我が親友ながら関心するよ・・・・」
 淡く光る世界樹から視線を逸らし、後ろから近づいてくる者に視線を移す。
 そこには漆黒のローブで全身を隠し、鼻が描かれていない笑顔のピエロの仮面つける二人の姿があった。
「マコっちゃん、おまたー」
 と手を振る木乃香と対照的に厳かに頭を下げるだけの刹那。
「此処に来たという事は・・・・って、もういいか。まったく、最終日まで答えを聞かないつもりだったのにどっかの馬鹿が今日の昼間にアーティファクト使っちゃうんだもん焦ったわ~」
「ウチも焦ってしもた、だってせっちゃん自分だけ先にマコっちゃんに自分の覚悟を告げてしまうんやもの」
「え!? あのあのあのあの、もももももも、申し訳ありません!」
 しどろもどろになって刹那は勢い良く頭を下げた。
「ふふっ、冗談やよせっちゃん。」
 付けていた仮面を外し、フードの奥で柔らかく微笑む木乃香に対し、恥ずかしそうに頭を掻きながら俯く刹那。
 その光景を見てマコトは少し懐かしい気持ちなった。
「さてお嬢様方、我が計画についてお話しようか」
 “ずばり、この世界で生きる人全てに   をプレゼントする”
 使うのはもちろん世界樹の力だ。その力で世界中に魔法を掛ける。
 どうなるかは解らない、なにせ禁術である人の心に影響する魔法だからな。結果的に他者の命を奪う可能性だって否定はできない。
「それでも・・・・」
「「ついていきます(いくよ)!!」」
 俯きがちだったマコトに二人の威勢の良い声が響く。二人の顔を見れば暖かな笑顔の華が咲いていた。
「フフッ、よかったよ俺の幼馴染が馬鹿二人で」
 三人は声を出して笑い、心地よい夜風が吹いた時、淡い光を出していた世界樹が一気に光り出す。
「おおっ~」
「わぁ~綺麗やな~」
「はい」
 幻想的な光景に感動する三人だったが、ゆっくりと現れた4人目にその感動も薄れていく。
「マコト君、招集を掛けたのにこんな所で油を売ってたら駄目ネ」
 現れたのは超 鈴音だった。肩から腰までのローブで身を包み、不適な笑みを零す彼女。
「残念だが、超 鈴音。俺は此処で降りるよ」
 そう言い、マコトは木乃香と刹那の前に立ちピエロの仮面を付ける。
 それを見た刹那も仮面を付け、夕凪を構え、木乃香も仮面を付け、片手を翳す。
「ふむ、それは残念ネ。だが、コチラの内情を知る者が飄々と組織を抜けて好き勝手出来るとは思ってはないよネ、マコト君?」
 瞬間、マコトは三人を包む障壁を展開する。直後、マコトに当たる筈だった何かが障壁に当たる。
「おいおい、現代のゴルゴ13かあの龍宮は」
 どうみても銃弾です。
「フフフ、そうしてくれると信じてたよマコト君」
 超 鈴音が不気味な笑みを零した瞬間、障壁に阻まれた銃弾が展開を始める。
「これは・・・・まさか!?」
 それは魔法陣の様にも見えるが、詳細は一切不明。数式も解らない何かだった。だが、コレに似た物をマコトは見た事がある。それに気付いたマコトは戦慄した。
 あっという間にソレは障壁全体を包む。
 木乃香は大きな転移魔法を自分達の直下に敷くが、それは発動せず消えてしまう。
「え!? なんでや!?」
「くっそ!! 超 鈴音!」
 マコトは自分達を包むソレを殴り、忌々しげに超を睨みながら姿を跡形も無く消したのだった。
「君の為だけに用意した試作のカシオペア丸々一個つかった特別弾ネ。未来でまた会おう」



 そこは何時もの通りの世界樹の広場だった。
 陽の光が世界樹を透して木漏れ日となり三人を照らし、心地よい風が吹き抜ける。
 周囲は静かで遠くの方で生徒達の声や朝錬の吹奏楽部が弾く、各楽器の音も混じって聞こえてくる。
 三人の内最初に目を覚ましたのはマコトだった、マコトは目の前に広がる光景を暫く見つめると仮面を外し、アスファルトへと投げ捨てた。
「ふぃ~やられたな~」
 そう抜けた様に呟いてみたものの、心の奥底からやってくる感情の大波は遂に理性という堤防を飲み込んでしまう。
「っ!!」
 周囲の静寂を劈く爆音。
 マコトの直下のアスファルトは無残にも大きな亀裂が走っていた。
「~~~~っ!!!!」
 言葉にならない程の悔しさからマコトは更に地面を殴り続ける。
 だが、次の瞬間。マコトの後頭部に何者かの撃蹴が華麗に決まる。
「ガハッ!!」
 マコトは力無くゆっくりと倒れた。
「も~う、マコっちゃんうるさい。そやって暴れとったら現状把握まともにできひんやろ? ねっ、せっちゃん?」
木乃香はそう刹那に話を振るが刹那は仮面越しにだらしなく口を開け、今木乃香が取った一連の行動に驚いていた。
刹那が気が付いた時、既にマコトが暴れていた。その理由も直ぐにわかった。
あの魔力に満ち満ちていた世界樹が今は何時も通りの樹に戻っている事から我々は敗北したのだと痛感する。
そして無言でただ地面を殴り続ける親友の痛々しい姿に涙が零れそうになった瞬間、木乃香がおもむろにマコトに近づくと自身に魔力を流して身体強化すると華麗に飛び上がり、彼の後頭部目がけ撃蹴を放ったのだった。
「・・・・こ、殺す気か」
 倒れながらそう呟くマコトの顔色は真っ青だった。
「そんな人聞きの悪い、ウチはマコっちゃんの事を想ってやったんよ? 目覚めた?」
 木乃香は仮面を一度頭上に上げ、倒れているマコトを覗きこむ様にそう言った。
「目覚めるどころか危うく永眠するところだったぞ馬鹿野郎」
 マコトはゆっくりと首を押さえ、頭を軽く振りながら立ち上がる。
 馬鹿野郎と言われた木乃香が頬を膨らませ尚もマコトに食って掛かっている。
 そんな二人の光景を見て刹那は自分の心の奥底にどこか釈然としない気持ちを抱いていた。
 マコトの隣で笑顔を見せてはしゃぐ少女。
 なぜあそこに私は居ないのだろう・・・・。
 刹那の視線の先、それは幼い頃何度も目にした光景、あの頃は何とも思わなかった光景。だが、今は妙な心のザワツキを感じていた。
 っ!? 何を言っているんだ私は!? 今はそんな事を言っている場合ではないのだ! 今は・・・・そうだ! 行動あるのみだ!!
「マコト様、お嬢様、これからどうします?」
 刹那に問われマコトは小さな溜息を一つ付くと世界樹に視線を飛ばしながら語りだす。
「そうだったな・・・・まぁ、見てわかる通り俺達の大敗北だな。あの弾丸は対象を強制的に時間跳躍させる代物だろう。辺りを見る限り学園祭はとっくに終わってもう通常の授業が始まってるみたいだな。恐らく超の野望が叶った世界だろうな」
「なぁ、マコっちゃん。超ちゃんの野望ってなに?」
手を上げてマコトに質問する木乃香。それに対してマコトは頭を掻きながら答える。
「そうか、二人とも詳しくは知らないんだったな。俺の記憶を共有させるから勝手に見てくれ、口で説明するのは流石に面倒だ」
 マコトはパチンと指を鳴らすと魔法陣が刹那、木乃香の下に敷かれ淡く光りだす。
「・・・・こ、これ程の計画を思いつくとは・・・・流石は天才と呼ばれる事はありますね」
 目を閉じてマコトの記憶を見ていた刹那はそう呟く。
「思いつくだけじゃないソレを実行に移せる力と知識を彼女は持ってた」
「う~ん、でもわからんなー。世界に魔法をバラして超ちゃんになんの得があるんやろか?」
 それは俺も知りたいよ。
「さーな、天才の見てる物なんざ凡才の俺には検討もつかんね。それよりも今の状況を覆すにはやはり戻るしかない」
 二人はゆっくりと頷く。
「ネギ先生を探せ、ネギのカシオペアが先生達に回収されてなければいいが」
「ですがもし、カシオペアを運良く我々が回収出来たとしてもアレを動かせるだけの魔力が・・・・」
「その辺は大丈夫だ。あれだけの魔力を放出していた世界樹だ根の方に行けばまだ魔力が残ってる」
「なるほど」
「まずは情報収集、俺は先生側に行ってくるよ。木乃香と刹那はインビジブル等を駆使して超の使っていた施設を調べてくれ、もちろんネギを探しつつだ」
「っ!? 先生側に行けば確実に監禁されますよ! そうなれば・・・・」
 マコトは片手で、刹那を制する。
「確かに監禁は確実だ、だが、この非常時恐らく絶対的な人手不足。そんなくそ忙しい時に超に切り捨てられた哀れな生徒一人何時までも監禁できる筈はない。寧ろ必要な情報を吐いた後は仕事を押し付けられると思う。まぁ、何とかするさ、お前等の方も頼んだぞ」
「・・・・わかりました」
 刹那は少し間を置いてそう答え、木乃香はマコトが投げ捨てた仮面を拾うとマコトに手渡し、言う。
「マコっちゃん、ウチが言うのもおかしいかもしれんけど・・・・最後の最後まで諦めたらあかんよ。」
 マコトは仮面を受け取ると親友二人に視線を向ける。
「ウチらは最後の最後まで付き合うからな、ねっ、せっちゃん!」
「はいっ! もちろんです!」
 視線の先には二人の少女の凛々しい笑顔、その笑顔は何よりも勇気をくれて、何よりも頼りにできるモノだった。
「よっしゃ! 行くぞお前等!!」
「はいっ!」
「うんっ!」
 今一度結束を固めた道化達はそれぞれの場所へと向かう。

 学園内教会。
 マコトはそこに制服姿のまま現れる。
 教会内は朝の喧騒を忘れさせてくれる程に静かで、聖堂ならではの神聖な雰囲気が溢れ出していた。
 マコトは均等に並んだ長椅子に腰を下ろすと小さく息を吐く。
「今更何の用で教会に足を運んだのですか? 徳川マコト君?」
「おいおい。此処は迷える子羊を心良く迎えてくれる神の家ではなかったのですかシスター?」
 長椅子に腰を下ろした瞬間、シスターシャークティをはじめとするシスター見習いの魔法生徒数人が十字架をマコトに向け取り囲んでいた。
「そうね、歓迎するわ迷える子羊よ。さぁ、たっぷりと懺悔なさい」
「痛ててててて。だが、シスターに乱暴に扱われるこの状況悪くない!!」
 数人のシスター見習いの生徒に両腕を強制的に後ろに回され、そのまま拘束されたマコトは少し喜んでいた。
 そしてシスター達の手によって拘束されたマコトは学園内地下にある魔法使い専用の牢獄に護送されたのであった。
 分厚い石の壁には特殊な魔法陣が刻まれおり、この空間では魔法が使えない様になっていた。
 そして石の門が音を立てて開くとガンドルフィーニ先生が高畑と一緒に入って来たのだった。
「えっ? 諜報部の尋問じゃないの? 先生方は実行部じゃないの?」
 ガンドルフィーニは一つ溜息を付くと“何所も人手不足なのだよ”と少しイラついた様に答えた。
「ああ、やっぱそういう事か~。外の様子見る限りじゃ学際終わってる様だったけど、実際今日で何日経ってます?」
「三日だよ」
 三日経ってんのか・・・・。
「そんな事はいい、私が聞きたいのは今、超 鈴音は何所にいる?」
 ガンドルフィーニはそうマコトに迫るが、マコトは質素な椅子に腰を下ろすと力無く天井を見上げる。
「そんな事は俺が知りたいですよ先生」
「なに?」
「突然現れた過去の無い謎の天才少女、最初は何か利用できる物は無いかと近づいてみればとんでもない計画を進めてた。この世界に魔法をバラす、一見何の利益になるのかわからない。負の一面しか見えない様で、多くの人を救える可能性があった。だからこそ彼女に協力した・・・・そして見事に使い捨てにされた。それだけの話」
 なんて事を言ってみたり、俺の演技力も大した物かも。
「ハハハハ、おかしな物だな。俺はさっきまで学際2日目の夜に居たんですよ? それが今は既に学際は終了して3日経ってると目の前の先生方は言う。やはりあの黒い弾丸は対象を強制的に時間跳躍させる物だったか」
 マコトはそう言うとガンドルフィーニ先生は机を拳で叩いた。
「ふざけるな! 時間跳躍などあるわけないだろう!!」
「まぁ、確かに時間跳躍を立証する物的証拠は無いので信じてくれとは言いませんよガンドルフィーニ先生。ただ俺が知ってるのは超 鈴音の思惑と計画内容だけ、あとは確証の無い推測のみ。それでも何か知ってると思うなら幻惑でも自白剤でも何でも使って調べてくれて構わんぞ」
 マコトは天井を仰いだまま溜息を一つ吐くと“疲れた”と零した。
「・・・・わかった、では最後の質問だ。ネギ先生を知らないか」
「居ないのか?」
「数人のクラスメイトと一緒に行方がわからない」
 ほほう、それはそれは良い事を聞いた。
 いかんいかん、顔に出ちまう。無気力無気力無気力、良し!!
「さーね。“過去”にでも居るんじゃねーの?」
 ガンドルフィーニ先生は“以上だ”と言うとさっさと資料を片付け立ち上がる。
「君には今暫く此処で大人しくしていてもらうよ」
「へいへい」
 マコトは高畑とガンドルフィーニ先生が出て行くのを見届けると心の中でガッツポーズを決める!
 いっよしっ!! ネギ先生は行方知らず。間違いなくまだ過去に居る。問題はいつコチラに来るかがわからない事、刹那達に連絡を取りたいが無理だな。
今は焦っても仕方ない、ツキが廻ってくるまで寝よう。ここ最近はまともに寝れてなかったからな。
 青年は床に身体を預け、瞼を閉じた。
「・・・・床、冷めてぇ」

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